草木染めの色は、植物の種類だけでなく、媒染剤の種類と水の硬度によっても変わります。京都・西陣の辻染工を訪ねたとき、染め師の辻義弘さんが「同じ玉ねぎでも、梅雨前と梅雨後では色が違う」と教えてくれました。季節と気候が染めの色に影響する。それを聞いて、草木染めの奥深さを改めて感じました。
玉ねぎの皮が染料になる仕組み ¶
玉ねぎの外皮にはケルセチンという黄色い色素が豊富に含まれています。この色素を煮出して染液を作り、媒染剤(金属塩)と組み合わせることで繊維に定着させます。媒染剤の種類によって色が変わり、ミョウバンでは黄金色、鉄では深い茶色になります。辻染工では今季、ミョウバン媒染を使っています。仕上がりは少し黄みがかった温かみのある色です。
矢車附子を加える理由 ¶
矢車附子(やしゃぶし)はハンノキ科の木の実で、タンニンを多く含みます。単独でも染料として使えますが、辻染工では玉ねぎの皮と組み合わせることで、色に深みと渋みを加えています。矢車附子のタンニンは繊維への染料の定着を助ける効果もあり、洗濯堅牢度が上がります。この組み合わせは辻さんが10年以上かけて試行錯誤してきたものです。
シルクが草木染めに向いている理由 ¶
シルクはタンパク質繊維で、植物染料との親和性が高い素材です。綿や麻に比べて染料の吸収が良く、発色が鮮やかになります。また、繊維の断面が三角形に近い形をしているため、光の反射が複雑で、草木染めの微妙な色の変化が際立ちます。辻染工のハンカチーフは30cm角の薄手のシルクで、染めた後に手洗いで仕上げています。
草木染めのシルクを長く使うために ¶
草木染めは化学染料に比べて日光に弱い傾向があります。長時間の直射日光は避けてください。洗濯は中性洗剤を使った手洗いが基本です。汗をかいた後は早めに洗うことをお勧めします。シルクは汗の成分で変色することがあるためです。正しく扱えば、10年以上使い続けられます。手入れについてご不明な点はいつでもご相談ください。
辻染工の草木染めシルクハンカチーフは、夏のお中元や贈り物として選ばれることが多い一品です。今季は7月31日までのご注文でラッピング無料です。