藍染めは、染めた直後が一番きれいではありません。洗うたびに余分な染料が落ちて、3回目の洗いあたりから色が落ち着いてくる。佐々木工房の佐々木隆さんはそう言いながら、染め上がったばかりのリネン地を広げて見せてくれました。まだ少し緑がかった青が、乾くにつれて深い藍色に変わっていく様子を、私はその日初めて見ました。
発酵建てとは何か ¶
藍染めには大きく分けて「化学建て」と「発酵建て」の二種類があります。化学建てはハイドロサルファイトという還元剤を使って短時間で染める方法。発酵建ては、藍の葉を発酵させた「すくも」を木灰汁と石灰で管理しながら、微生物の力で染液を作る方法です。佐々木工房では発酵建てのみを使っています。染液の管理には毎朝の温度確認と攪拌が必要で、夏は特に気を遣うと隆さんは話していました。
重ね染めで色の深みを出す ¶
一度染めただけでは、藍の色は薄く、堅牢度も低い。佐々木工房では最低でも5回、濃い色のものは12回以上染液に浸けては空気にさらす工程を繰り返します。空気に触れることで酸化し、色が定着する。この繰り返しが、洗っても色落ちしにくい藍染めを作ります。Noble Lair Solitudeで扱うトートバッグ用の生地は、8回重ね染めしたものです。
リネンに藍を染めることの難しさ ¶
藍染めは綿や絹に向いていると言われることが多く、リネンは染まりにくい素材です。繊維の表面が滑らかで、染料が入り込みにくいためです。佐々木工房では、染める前に豆汁(ごじる)でリネンを下処理することで、染料の定着を助けています。この工程を省くと、洗うたびに色が急激に落ちてしまいます。手間がかかる分、仕上がりの堅牢度は綿に引けを取りません。
経年変化を楽しむために ¶
藍染めのリネンを長く使うためには、最初の数回の洗い方が大切です。購入後、最初の3回は単独で手洗いし、他の衣類への色移りを防いでください。水温は30度以下、洗剤は中性のものを。乾燥は直射日光を避けて陰干しが基本です。使い込むほど色が落ち着き、生地が柔らかくなっていきます。5年後、10年後の色を想像しながら使うのが、藍染めの楽しみ方だと思っています。
佐々木工房の藍染めリネントートバッグは、現在Noble Lair Solitudeの店頭に6点あります。実物の色と手触りは、ぜひ店頭でご確認ください。来店のご予約はこちらからどうぞ。