奈良の革工房を初めて訪ねたのは2018年の秋のことです。春日大社の近くにある「吉野皮革」の工房に入ると、菜種油の独特の香りがしました。革をなめすのに化学薬品を使わず、油と手の力だけを使う。その工程を見て、これは扱わなければならないと思いました。
奈良晒しとはどんな技法か ¶
奈良晒しは、鹿の皮を菜種油で揉み込みながらなめす技法です。室町時代に奈良で発展し、武具や装束の素材として使われてきました。現代の革なめしの多くはクロムや合成タンニンを使いますが、奈良晒しは植物性の油のみ。工程は単純に見えて、油の量と揉む力加減、乾燥のタイミングが仕上がりを大きく左右します。吉野皮革の吉野清一さんは、この技法を守る職人が全国で数人しかいないと話していました。
使い込むほど柔らかくなる理由 ¶
化学薬品でなめした革は、使い始めが一番柔らかく、時間とともに硬くなることがあります。奈良晒しの鹿革は逆で、使い込むほど繊維がほぐれて柔らかくなります。油がゆっくりと革の繊維に馴染んでいくためです。Noble Lair Solitudeで扱うカードケースは厚み0.6mmと薄手ですが、3ヶ月ほど使うと手の形に沿って自然に曲がるようになります。
手入れの方法 ¶
奈良晒しの鹿革は、基本的に特別な手入れを必要としません。汚れが気になる場合は、固く絞った布で拭く程度で十分です。乾燥が気になる場合は、少量の馬油や椿油を薄く伸ばしてください。市販の革用クリームは成分によっては革の風合いを変えてしまうことがあるため、使う前にご相談ください。Noble Lair Solitudeでは購入後の手入れ相談をいつでも受け付けています。
カードケースを選ぶ際のポイント ¶
現在取り扱っているカードケースはナチュラルとスモークグレーの2色です。ナチュラルは使い込むほど飴色に変化します。スモークグレーは燻製処理を施したもので、色の変化は比較的穏やか。どちらも実物を手に取ってみると印象が変わることが多いので、可能であれば店頭でご覧いただくことをお勧めします。来秋には柿渋染めの新色も加わる予定です。
奈良鹿革のカードケースは現在店頭に在庫があります。贈り物としてもよく選ばれています。ギフトラッピングのご相談は来店のご予約はこちらからどうぞ。