備前焼の窯出しは、10日間の焼成が終わった後、窯が冷めるまでさらに数日待ってから行われます。山本窯の健太郎さんに「窯を開ける瞬間が一番緊張する」と言われて、その場に立ち会わせてもらいました。窯の扉が開いた瞬間、土と炎が作った表情が一点一点違うことに、毎回驚かされます。

釉薬を使わないとはどういうことか

多くの陶器は表面に釉薬をかけて焼くことで、色や光沢を出します。備前焼は釉薬を一切使いません。土そのものの色と、窯の中での炎の当たり方、灰の降り積もり方が、そのまま表面の表情になります。同じ窯の中に入れても、置いた場所によって全く異なる焼き跡が生まれます。これを「窯変」と呼びます。同じものが二つとないのは、この窯変のためです。

10日間の薪窯焼成

山本窯では赤松の薪を使って1,200度まで温度を上げます。焼成期間は10日間。この間、交代で薪をくべ続けます。温度の上げ方と薪の量が、焼き上がりの硬さと色に影響します。健太郎さんは「窯は生き物。毎回同じようにやっても、同じにはならない」と言います。この不確かさが、備前焼の面白さであり、難しさでもあります。

一輪挿しを選ぶ目

Noble Lair Solitudeで扱う一輪挿しは、橘 凛子の場で一点一点手に取って選んでいます。選ぶ基準は「花を一本挿したときに、土と花がどう見えるか」です。主張が強すぎず、かといって存在感がない訳でもない。そのバランスを見ながら選びます。今回の入荷5点は、それぞれ表情が異なります。店頭で並べて見ていただくと、どれを選ぶか迷うと思います。

備前焼の日常的な使い方

備前焼は花器としてだけでなく、ぐい呑みや湯呑みとしても使われます。釉薬がないため、使い込むほど土に水分が染み込み、独特の風合いが出てきます。洗う際は食器用洗剤を使って構いませんが、長時間水に浸けるのは避けてください。乾燥させてから収納することが基本です。手入れについてご不明な点はいつでもご相談ください。

山本窯の一輪挿しは現在5点、店頭にあります。今季の棚に並ぶものの詳細はコレクションページをご覧ください。