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「海外で見てきたものより、ずっと手が込んでいるのに、誰も知らない」
2019年の秋、橘 凛子京・代官山の小さな路地に面した物件を借り、Noble Lair Solitudeを開きました。それまで10年間、パリとミラノのセレクトショップで買い付けの仕事をしていた彼女が帰国して最初にしたことは、日本各地の工房を訪ねて回ることでした。岩手の染め師、奈良の革職人、福井の機屋。「海外で見てきたものより、ずっと手が込んでいるのに、誰も知らない」という気づきが、このブティックの出発点です。

開業当初は月に一度しか仕入れをしませんでした。棚に並ぶのは常時30点前後。それでも、来てくださったお客様が「ここに来ると何かを買いたくなる」と言ってくれるようになったのは、開業から半年ほど経った頃のことです。2021年の春、コロナ禍で多くの店が閉まっていく中、Noble Lair Solitudeは逆に仕入れ先を増やしました。工房が直接販路を失っていたからです。その時期に築いた関係が、今のコレクションの骨格になっています。

橘 凛子、東京生まれ。大学卒業後、パリのセレクトショップ「Maison Drevet」で3年間バイヤーアシスタントを務め、その後ミラノの「Studio Artigiano」で7年間、ヨーロッパの工芸品の買い付けを担当した。2018年に帰国し、日本各地の工房を1年かけて巡った末、2019年秋に代官山でNoble Lair Solitudeを開業。休日は長野の山を歩くことが多く、「歩いている時に次の仕入れ先のことを考えている」と言う。